このような体系的なリサーチ方法論を6ヶ月間適用した結果、本当に驚くべき変化が起こりました。 最も大きな変化は、他の作家の作品を見る視点が完全に変わったことです。 以前は「きれいだ、きれいじゃない」レベルでしたが、今では「この作家はなぜこの色を選んだのか」、「この構図にはどんな意図が隠されているのか」といった分析的な質問が自然に浮かびます。

特に効果的だったのは「逆行研究」です。 ピカソの「ゲルニカ」を例に挙げると、完成した作品だけでなく、その作品のために描かれた何百もの習作を時系列で辿っていくと、作家の思考過程が鮮明に見えてくるんです。 ああ、この部分で悩んだんだな」「ここで方向転換したんだな」と、創作の内面を垣間見ることができました。

このような深い分析から得た洞察を自分の作品に取り入れてみると、まったく新しい次元の作品が生まれるようになりました。 単に技法を真似るのではなく、その技法が持つ「思考の構造」を理解し、自分なりに解釈できるようになったのです。

1年後に個展を開いたとき、来場者や評論家から「これまでの作品とは明らかに違う深みを感じる」と評価されました。 リサーチで培った美術史的素養が自然に作品に溶け込んだ結果だと思います。